SNSで何を投稿するか迷っていませんか
外国人のお客様に向けてSNSを始めたいけれど、何を投稿すればよいのか分からない。
「インバウンド SNS 事例」で調べると、自治体や大きなホテルの事例が並びます。予算も人手も違うので、自分の店に置き換えにくいと感じている方も多いと思います。この記事では、自治体や大きな店の事例も含め、小さな店が真似できるところを型ごとに取り出しました。
SNSでインバウンドの集客につなげた店の事例は、自分で発信する型、お客様に投稿してもらう型、中国のお客様に向けた小紅書(RED)の3つに分けると、真似する所を選びやすくなります。
紹介するのは、雑誌や自治体の資料で数字を確かめられた事例です。
訪日客は出発前にSNSで調べている
訪日客が出発前に役立った旅行の情報源として、最も多く挙げたのはSNSでした。
観光庁の2025年の調査(JNTO=日本政府観光局のInstagram活用ガイドラインで紹介)では、出発前に役立った情報源として「SNS」を挙げた人が43.3%で、ほかの情報源より多くなっています。
旅行の前に行き先を決める段階で、SNSの投稿を見ているということです。店がSNSに何も出していなくても、お客様の投稿が代わりに見られていることもあります。
どのSNSを国ごとに使い分けるかは、こちらの記事で紹介しています。
インバウンドのSNS事例は3つの型に分かれる
事例を真似する前に、自分の店がどの型に近いかを決めましょう。型によって、店がやる作業が大きく違います。
この記事で紹介する事例を、型ごとに並べました。
| 型 | 店がやること | 事例 |
|---|
| 自分で発信する型 | 店の技や接客を、自分で動画にして投稿する | 美容室 ASSORT TOKYO/包丁店 實光刃物の研師 |
| お客様に投稿してもらう型 | 撮りたくなる一品や場面を用意し、お客様の投稿を店のアカウントでも紹介する | うどん店 麺散/喫茶店 ヘッケルン/横浜市 #myyokohama |
| 小紅書(RED)の型 | 中国のお客様が見る小紅書に、投稿や広告を置く | 和歌山の宿/福岡の観光列車/奈良・宇陀の飲食店 |
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営業の合間に撮影と編集の時間を取れない店は、お客様に投稿してもらう型から始めましょう。自分で発信する型は、続けて投稿できることが前提です。
お客様の投稿で店を知った方は、Googleマップで店名を調べます。どの型を選ぶ場合も、Googleマップの英語の店舗情報を先に整えておきましょう。
自分で発信する型の事例
自分で発信して外国人のお客様を集めている店は、完成品だけでなく、技や接客の場面を見せています。
言葉が通じるかどうかの不安を、動画で先に取り除いているのが共通点です。
美容室 ASSORT TOKYO|相談の場面を動画で見せる
引用:https://beauty.hotpepper.jp/slnH000220326/
Instagram:@assort.hair/ウェブサイト:ASSORT GROUP
東京・北青山の美容室 ASSORT TOKYO(アソート トウキョウ)は、InstagramとTikTokで、スタイリストとお客様が仕上がりを相談するやり取りを短い動画にして出しています。
以前は仕上がりの動画が投稿の大半でしたが、相談の場面を中心にする形に切り替えました。外国人のお客様は、なりたい髪型があっても、どう注文すればよいかが分からなかったためです。
- 東京店の売上のうち、外国人のお客様の割合は90%以上
- Instagramのフォロワーは約35.2万人、TikTokは85万人超(2026年6月時点)
完成した料理や商品だけでなく、注文や接客の流れを動画で見せましょう。「英語が通じなくても大丈夫そうだ」と、来る前に分かります。
包丁店 實光刃物の研師|言葉を使わず、研ぐ前と後を見せる
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000091046.html
研師RyotaさんのInstagram:@kenshi_ryota/實光刃物のウェブサイト:實光刃物
大阪・堺の包丁メーカー 實光刃物(じっこうはもの)で働く研師のRyotaさんは、個人のアカウントで、YouTube・TikTok・Instagram・Facebookに、研ぐ前と後で食材の切れ方を比べる短い動画を出しています。始まりは、2018年ごろに会社のYouTubeで研ぎ方を解説したことでした。
動画ではほとんど言葉を使わず、映像と砥石の音で伝えています。冒頭の1秒で切れ味が分かる場面を見せ、詳しい説明は長い解説動画に回す形です。
- SNS全体のフォロワーは700万人超。2026年7月時点で、4つのSNSのそれぞれが100万人を超えている
- 以前の長い解説動画の再生は多くて約70万回だったが、短い動画では400万〜500万回に届くこともある
- SNSを見て堺の店を訪れる海外の旅行者もいる
英語が苦手でも、自分の技を「前と後」で見せる動画なら始められます。料理なら仕上げの一手、体験なら作る前と作った後のように、言葉のいらない場面を探しましょう。
お客様に投稿してもらう型の事例
お客様の投稿で広まった店は、思わず撮りたくなる一品や場面を持っています。
店が自分でSNSを続けなくても、お客様や紹介者の投稿が海外に広がることがあります。ただし、この型は広まるかどうかを店が決められません。ここで紹介する麺散もヘッケルンも、狙って広めたわけではありません。
うどん店 麺散|芸能人の紹介から海外に広まった
引用:https://tabelog.com/tokyo/A1306/A130601/13225567/
Instagram:@menchirashi_one
東京・原宿のうどん店 麺散(めんちらし)は、芸能人やインフルエンサーがSNSで紹介したことをきっかけに、海外にも広まりました。いまは外国人のお客様が8割を超えています(2026年6月時点)。
店のプロデューサーは、最初からインバウンドを狙っていたわけではないと話しています。
喫茶店 ヘッケルン|撮りたくなる所作が広まった
引用:https://san-tatsu.jp/articles/32807/
東京・虎ノ門の喫茶店 ヘッケルンの店主は、2023年の報道の時点でSNSを使っていませんでした。それでも、プリンを型から出すときに腕を振る姿の動画がTikTokやFacebookで広まり、外国人のお客様が並ぶようになりました。
自分で発信しなくても、撮りたくなる一品や所作が1つあれば、お客様の投稿で広まることがあります。店で一番人の目を引く場面はどこかを、先に決めておきましょう。
横浜市 #myyokohama|お客様の投稿をリポストする
Instagram:@findyouryokohama_japan
横浜市の公式Instagramは、「#myyokohama」を付けて投稿された写真や動画から選んで、リポスト(紹介し直すこと)しています。
- フォロワーは2026年3月に15万人を超えた
- #myyokohama の付いた投稿は50万件を超えている
お客様の投稿で店が写っているものを見つけたら、投稿した方に許可をもらい、キャプションに@アカウントを書いてリポストしましょう。人が写っている場合は、その方の了解も取ります。
小さな店の独自のハッシュタグには、すぐには投稿が集まりません。横浜市のような数は目指さず、見つけた投稿を1件ずつ紹介する形で十分です。
中国のお客様に向けた小紅書の事例
中国のお客様に向けては、小紅書(RED)の事例があります。小紅書は、写真や動画で旅や買い物の体験を共有する中国のSNSです。私がサポートしている店でも、中国本土のお客様はGoogleマップをあまり使わない傾向があります。
小紅書のアカウントは、来ているお客様の多くが中国本土の方だと分かってから作りましょう。
ここで紹介する3件は、福岡県の上海事務所が広告会社への聞き取りをもとにまとめた資料に載っている事例です。施設が自分で発表した数字ではない点に気をつけて読んでください。
| 事例 | 取り組み | 結果 |
|---|
| 和歌山県のリゾートの宿 | 小紅書に月12万円ほどの広告を出した。日本に住む中国人の投稿者が薦める動画も出た | 3か月で売上150万円。投稿の「いいね」は30件前後と少なかったが、見た人の予約の割合が高かった |
| 福岡県観光連盟(観光列車) | 観光列車に乗った様子の動画を、公式アカウントに投稿した | 投稿の直後は、予約の問い合わせが毎日20〜30件。4か月たっても週3〜4件 |
| 奈良県宇陀市の飲食店 | 店はアカウントを持っていない。小紅書に投稿された写真を見て、中国人の観光客が来るようになった | 来店の数字は資料に無い |
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小紅書の投稿は、出してから何か月も読まれ続けることがあります。体験や料理の様子を1本の動画にまとめて置いておくと、問い合わせが続くことがあります。
「いいね」の数が少なくても、予約につながっている例があります。小紅書の成果は、反応の数ではなく、予約や問い合わせの数で見ましょう。
事例を真似するときに気をつけること
事例の数字は、その店の条件で出たものです。同じことをしても、同じ数字が出るとは限りません。
ASSORT TOKYOは世界の7都市に店を持つ美容室で、實光刃物の研師は2018年ごろから動画を出し続けています。自分の店の規模と、続けられる時間に合わせて、真似する所を選びましょう。
お礼と引き換えの投稿は「広告」の表示が要る
お礼や無料の招待と引き換えに投稿をお願いした場合は、投稿に「PR」などの広告の表示を入れてもらいましょう。
2023年10月から、景品表示法でステルスマーケティング(広告であることを隠した宣伝)が規制されています。店が投稿を頼み、謝礼や無料の招待を渡した場合は、店の広告に当たる可能性が高く、表示が無ければ店の側が処分の対象になります。「星5で」「おいしいと書いて」のように中身を指定して頼むと、お礼が割引だけでも広告に当たります。
小紅書の資料では、お客様にコメントを頼んでお礼にお土産を渡す工夫も紹介されています。この形も、お礼と引き換えになるので、広告の表示が要る場合があります。Googleマップの口コミでは、割引や品物と引き換えに口コミを頼むことは規約で禁止されていて、口コミが削除されます。小紅書でも、お礼と引き換えのコメントが規則に触れるおそれがあるので、運用を頼む会社に先に確かめましょう。
他店の映像や音源は使わない
ほかの店の動画を参考にするときは、真似するのは場面の順番と最初の数秒の見せ方だけにしましょう。
他店の映像をそのまま使うことはできません。InstagramのBGMの中には、個人の利用に限られ、ビジネスアカウントでは使えない曲もあります。
BGMは、商用に使ってよいと書かれた音源から選びます。別のアプリで流行りの曲を付けた動画を、ビジネスアカウントからそのまま出すことは避けましょう。
弊社が担当している店のSNS
私がSNSの運用を代行している都内のコーヒー店では、撮影から編集、英語のキャプションを付けた投稿までを引き受けています。型でいえば、自分で発信する型です。私がサポートしている店では、外国の方に届けたい投稿はリールにしています。

虹色のラテのリールは10万回再生されました。外国の方はリールしか見ないですし、リールをあげた方が拡散力があると感じています。
このコーヒー店での撮影の頻度や作業時間、ほかの店の事例は、インバウンド対策の成功事例の記事にまとめています。
まず型を1つ選んで、1つのSNSから始める
SNSの事例は、自分で発信する型、お客様に投稿してもらう型、小紅書の型の3つに分けて、自分の店に近い型を1つ選びましょう。
迷ったら、毎週30分を撮影に取れるかどうかで型を決めましょう。
次の投稿までに、この順で取り組んでみてください。
- 撮影と編集の時間を、毎週どのくらい取れるかを決める
- 時間が取れるなら自分で発信する型、取れないならお客様に投稿してもらう型を選ぶ
- 店で一番人の目を引く一品か場面を1つ決め、動画か写真にする
インバウンド集客でお困りの方はぜひTABICOにご相談ください。