広告を出すか、決められずにいませんか
インバウンド集客の広告を出すかどうかは、広告の管理画面を開く前に、自分の店舗ページを見れば決められます。
決められないままになっているのは金額の問題ではなく、何を見て判断すればよいかが決まっていないからです。

相談を受けたとき、店の方が最初に言われたのは「広告を出しても効果があるのか分からない」という言葉でした。
この問いに、月いくらかかるかという話から答えても、広告を出すかどうかは決まりません。
効果があるかどうかは広告の設定ではなく、広告を押した人が開く店舗ページに何が載っているかで先に決まってしまうからです。
外国人のお客様が地図アプリで見ているのは、店名と写真です。
店名だけで写真が1枚も載っていないと、広告費を払って店舗ページまで来てもらっても、そのまま別の店に移られます。
先に見るのは自分の店舗ページで、店名と写真がそろってから少額で出して反応を確かめる、という順番になります。
インバウンド集客の広告の種類|1店舗で出せる枠はどれか
インバウンド集客の広告とは、訪日外国人に向けて出す広告のことで、出稿できる枠は検索・SNS・動画・地図アプリ・交通の5つに分かれます。
この5つのうち、1店舗の予算で出せるのは、地図アプリ・検索・SNSの3つです。空港や駅の大きな枠は枠単位の契約になるので、候補から先に外しておきましょう。
費用をかけずに始められる範囲は インバウンド集客ツールは何が要るか にまとめています。
インバウンド集客の広告とは|訪日客に向けて出す5種類
広告の枠ごとに、料金がいつ発生するかと、1店舗だけで出せるかどうかが変わります。
表の右の列に「出せる」と書いていない枠は、いま決めなくて構いません。
| 枠 | 料金の発生の仕方 | 1店舗で出せるか |
|---|
| 地図アプリ(googleマップ広告) | クリックされたときだけ | 出せる |
| 検索(リスティング広告) | クリックされたときだけ | 出せる |
| SNS(Instagram・Facebook) | 表示またはクリック | 出せる |
| 動画(YouTube) | 表示または視聴 | 動画の素材が要る |
| 交通(空港・駅・車内) | 枠単位の買い切り | 予算が合わない |
スクロールできます →
Google広告のローカル広告は、Google 広告ヘルプに「広告で発生した以下のようなクリックに対して標準のクリック単価(CPC)が課金されます」と書かれています。
訪日客が旅行前と旅行中に何を見ているかは、観光庁の訪日外国人消費動向調査で公表されています。
1店舗で出せる枠と、予算が合わない枠を分ける
1店舗で先に考えるのは地図アプリの枠です。
外国人のお客様は店の前に着く前に地図アプリで行き先を選んでいるので、いま近くの店を探している人に広告を見せられる地図アプリの枠が、来店にいちばんつながりやすいです。
広告運用を引き受けた店で、どの広告を選んだかを書いておきます。

出したのは地図の枠です。素人でも扱いやすいからです。インバウンドで検索の広告を出すと、日本以外のすべての国が対象になるので市場が広すぎて、戦略を練らないと難しい部分があります。
検索の広告は、日本人のお客様に向けて出すときと同じやり方では設定できません。
広告だけを担当する人を置けない店なら、店の近くにいる人にしか出ない地図アプリの広告から始めるほうが、店主1人でも管理できます。
- 地図アプリ … 近くの店を探している人に出る。少額から出せる
- 検索 … 英語で「東京 ラーメン」にあたる語句を打った人に出る
- SNS … 旅行の前にSNSで行き先を調べている人に届く。ふだんの投稿を見ている人が少ないうちは、広告だけでは来店につながらない
- 動画・交通 … 素材の制作費と枠の費用が要るので、後回しでよい
googleマップ広告は店舗のどこに出て、いくらかかるか
地図アプリのどの欄を先に直すかは、外国人は地図アプリで何を見て決めるか にあります。
googleマップ広告(ローカル検索広告)は、地図アプリや検索結果の地図の部分に、自店の枠が上のほうに表示される広告です。
料金はクリックされたときにだけ発生するので、1日の上限を決めておけば、決めた額を超えて請求されることはありません。
ローカル検索広告とは|地図の検索結果に自店の枠が出る広告
ローカル検索広告は、Google広告のアカウントとGoogleビジネスプロフィール(Googleマップに出る自店のページ)をつないで出す広告です。
この広告を押した人が見るのは自社サイトではなく、自店のGoogleビジネスプロフィールのページです。
- 出る場所 … Googleマップの中の四角いピン、または地図の検索結果の中
- 押した先 … 自店のGoogleビジネスプロフィール。地図を押せばルートが出て、通話・ルート・ウェブサイト・予約のボタンも並ぶ
- 出す条件 … 広告アカウントとビジネスプロフィールの連携
出典はGoogle 広告ヘルプ「ローカル広告について」です。
同じページに「これらの2つの広告フォーマットは必ずしも両方とも表示されるわけではありません」とあるので、出稿しても常に両方に出るわけではありません。
クリック課金の仕組みと、上限を決めて少額から出す考え方
クリック課金は、チラシのように刷った枚数で払うのではなく、広告が押された回数だけ払う形です。
広告が合わないと思った日に止められるので、まずは、なくなっても困らない額から始めましょう。
相場の金額は、業種と地域で変わるうえ、根拠として示せる公開資料がありません。
1日の上限額は、他店の相場ではなく、自分の店でなくなっても困らない額から決めるほうが安全です。
実際にいくらで広告を出しているかを書いておきます。

1日の上限は1500円に設定しました。途中で日本人向けの広告や検索の広告が勝手に作られたことがあり、それは止めさせました。
上限額を決めたあとも、自分が作った広告だけが配信されているとはかぎりません。
1日の上限額を決めたら終わりにせず、自分が作っていない広告が配信されていないかを、月に一度は管理画面の広告一覧で確かめてください。
- 1日の上限額を決める(月に出せる額を営業日数で割る)
- 広告を1週間出して、1日に使った額が上限に届いているかを見る
- 届いていないなら広告が押されていないので、広告の設定ではなく店舗のページのほうを直す
ローカル検索広告の効果は店舗ページの中身で決まる
ローカル検索広告は設定が簡単なぶん、配信を調整できる幅がもともと狭い広告です。
結果を分けるのは設定の細かさではなく、押した先の店舗ページに何が入っているかです。
設定は簡単でも、配信の最適化は検索広告より劣る
検索広告のように語句ごとに出し分ける作りではないので、広告の側でできることは多くありません。
そのぶん、店舗ページを直したときの差のほうが大きく出ます。

googleマップの広告は、Google検索の広告より設定が簡単です。ただし配信を最適化する機械学習は検索広告より劣るので、そこは注意が必要です。
クリックした先で外国人のお客様が見ているのは店名と写真
地図アプリで店名を押した先の画面で、最初に目に入るのは店名と写真です。
星の数が少ない店でも、1枚目の写真と店名がはっきり読めれば、お客様の行き先の候補には残ります。

ツアー中にお客様がご自分のスマホで開いていたのは、Googleマップとインスタグラムでした。見ていたのは店名と写真で、星の数や口コミを開いて読むところまでは、その場では見ていませんでした。
お客様が歩きながら見ている画面なので、文章をじっくり読む場所ではありません。
口コミの文面を書き直す前に、自分の店の1枚目の写真と店名だけを見て、お客様の行き先の候補に残るかどうかを、自分の目で確かめてください。
どの欄を見て行き先が決まっているかは、こちらの記事にまとめています。
広告を出す前に埋める欄|属性・説明文・予約リンクの3つ
広告を押した先はGoogleビジネスプロフィールなので、先に埋めるのは属性・説明文・予約リンクの3つです。
属性・説明文・予約リンクの順で埋めると、説明文と予約リンクを書き直さずに済みます。

弊社が担当している店では、属性 → 説明文 → 予約リンクの順で埋めました。3つとも空のまま、何年も置かれていました。
この3つの欄があること自体を知らず、空のままになっている店は珍しくありません。
属性・説明文・予約リンクの3つは店の側でしか答えられない内容なので、外注する場合でも、決済方法と予約の受け先だけは先に決めておきましょう。
店で使える支払い方法は、属性の欄で全部にチェックを入れておきましょう。Googleは「ビジネス情報の内容が充実していて正確なほど、ローカル検索結果に表示される可能性が高くなります」と書いています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」)。
ここに書かれているのは店の情報がどれだけそろっているかの話なので、属性を1つ増やせば検索順位が上がる、とは読まないほうがよいです。
説明文と予約リンクは、予約先を1つ決めてから入れる
説明文と予約リンクは、予約の受け先を1つに決めてから入れると一度で終わります。
英語のまま自社サイトで予約まで終えられるなら自社サイトを予約先にし、終えられないなら、すでに自分の店を載せているOTA(Klookのような、旅行や体験の予約サイト)を予約先にしましょう。
どの欄に何を入れるかを扱った記事があるので、そちらを見てください。
写真は1枚目から並べ直す|広告の先で最初に見られる欄
写真は、広告を押した人が最初に目にする欄です。
足りないのはたいてい写真の枚数ではなく並び順なので、新しく撮って追加する前に、1枚目に置く写真を選び直しましょう。

写真は1枚目がいちばん重要で、そのあとの順番にもストーリー性が要ります。弊社が担当している店では、追加ではなく並び替えと再選定から始めました。
撮り直しには日程と費用が要りますが、並び替えは手元の画面で今日できます。
新しく撮る前に、すでに載せてある写真の順番を決め直してください。
1枚目に何を出すかを決めてから、2枚目以降を並べる
日本語が読めない相手が店を選ぶときの手がかりは写真だけなので、1枚目には店で何が出てくるかが写っている写真を置きます。弊社が担当している店では、次のように並べています。

1枚目に選ぶのは、いちばん綺麗に撮れていて、その店が何を提供しているのかが一目で分かる写真です。2枚目からはストーリーになるように並べます。茶道体験なら、1枚目は体験そのものが分かる写真、2枚目はお茶の説明を受けている写真、3枚目は先生がお茶を点てる写真、4枚目はお客様が実際に点てる写真、5枚目はお菓子とお茶をいただいている写真です。スワイプしていくと、体験の流れがそのまま分かる並びにしています。
2枚目以降は、良い写真を良い順に並べるのではなく、来店してから帰るまでの順に並べます。
自店の写真を「来た人が何を体験する順か」で並べ直すと、どの場面の写真が手元に無いかも同時に分かります。
1枚目から順に、何を出して何を外すかを並べると次のようになります。
| 順番 | 出すもの | 外すもの |
|---|
| 1枚目 | その店で何が食べられるか(何ができるか)が写っているもの | ・暗い外観 ・文字だけの告知画像 |
| 2〜3枚目 | 席の様子。何人で座れるか、カウンターかテーブルかが分かるもの | ・人の顔が大きく写っているもの ・閉店後の誰もいない店内 |
| 4枚目以降 | 入口と、入り方が分かるもの | ・同じ料理の似た角度の写真 ・季節が終わった限定メニュー |
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2階など分かりにくい店は、入り方の写真を足す
2階にある店や、ビルの奥に入口がある店は、お客さんが店の前まで来ても、どこから入ればいいのか分からずに通り過ぎてしまいます。
入口までの道順は、文章で説明するより、階段やビルの入口を写した写真を載せたほうが伝わります。

2階にある店を担当したときは、階段の上り口を道から見た角度で撮った写真と、入り方を書いた投稿の2つをGoogleマップに出しました。
googleマップ広告を店舗が出す手順|連携までの3段階
出稿までは3段階です。
ビジネスプロフィールを整え、Google広告のアカウントを作り、住所アセットで2つをつなぎます。
前の章を終えていれば、ここは一度で終わる作業です。
ビジネスプロフィール・広告アカウント・住所アセットの3段階
- 1つ目は、Googleビジネスプロフィールの属性・説明文・予約リンク・写真を埋めること
- 2つ目は、Google広告のアカウントを作り、支払い情報を登録すること
- 3つ目は、住所アセット(広告に店の住所と地図を出す設定)で、広告アカウントとビジネスプロフィールをつなぐこと
Google広告のヘルプには「店舗をリンクすると、[住所]アセットとローカル広告フォーマットが有効になり、検索、マップ、Waze に表示されるようになります」と書かれています。つないでいなければ、そもそもこの形の広告が出せません。
配信を始める前に確かめる項目
配信を始める前に、広告を押したときに開く画面が外国人のお客様に読める状態かを、自分で見ておきます。
Googleマップの表示言語を英語に切り替えて、自分の店を検索してみましょう。
出稿したあと、続けるかを何で判断するか
管理画面の数字を毎日見られなくても、続けるかどうかは判断できます。
見るのは、予約を持たずに来店した外国人のお客様が何人いるかです。
飛び込みのお客様の増え方を、曜日ごとに見る
数え方は、予約なしで来店した外国人のお客様の人数を、曜日ごとに分けて書き留めるだけです。
平日と休日を混ぜて平均を出すと、飛び込みの外国人のお客様が増えたかどうかが読み取れなくなります。

広告の出稿を始めてから、飛び込みのお客様は休日で多いときに1日5件、平日は2〜3件です。これは店の方から聞いた数です。広告を出す前はMEO対策もしていなかったので、そちらも含めて総合的に増えたのだと思っています。
店頭で数えた数は、広告の管理画面に出る数字より粗いかわりに、自分の手で毎日数え続けられます。
まずは飛び込みの外国人のお客様の人数を休日と平日に分けて数え始めて、増えたかどうかを自分の書き留めた数字で言えるようにしてください。
広告と店舗ページのどちらが理由かは切り分けられない
広告と店舗ページの整備を同時に進めた場合、来店が増えた理由がどちらなのかは分けられません。
広告と店舗ページを同時に始めたなら、どちらが理由かを調べるより、両方とも続けたほうが来店は増えます。
それでも広告と店舗ページのどちらが理由かを確かめたいときは、広告のほうだけを一度止めます。
- 広告だけを1〜2週間止め、来店数の変わり方を見る
- 止めた期間の来店数を、広告を出していた期間の来店数と、同じ曜日どうしで比べる
- 来店数がほとんど変わらないなら、広告ではなく店舗ページのほうが来店の理由になっている
広告では届かない客がいる
地図アプリの広告で届くのは、地図アプリを使うお客様だけです。
中国本土からのお客様はGoogleマップを使わない傾向があるので、この広告では届きません。一方で、東南アジアに住む中華系のお客様はGoogleマップを使われます。
地図アプリを使わない国のお客様には広告が届かない
同じ「中国語を話すお客様」でも、住んでいる国によって、地図を調べるときに使うアプリが変わります。
中国語を話す方を国籍でひとまとめにせず、どこの国に住んでいる方かで分けて考えたほうがよいです。

中国の方もよく訪れますが、私が見てきた範囲ではGoogleマップを使わない傾向があります。ただし東南アジアに住む中華系の方はGoogleマップを使うので、その方々が中国語で口コミを投稿してくださる場合があります。
国・地域別の訪日客数はJNTOの統計データで公表されています。
ただし全国の訪日客数と、自分の店に来るお客様の国の内訳は別ものなので、店で実際に見たお客様の顔ぶれをもとに考えましょう。
ツアー中にお客様が開いていたアプリは3つだった

ツアーに同行した日に、お客様が自分のスマホで開いていたアプリを数えると3つでした。行き先を探すのはGoogleマップ、店の様子を見るのはインスタグラム、同行者との連絡はWhatsAppです。
このうち、行き先を選ぶ場面で開かれていたのはGoogleマップとインスタグラムでした。
地図アプリの広告で届くのはGoogleマップを見ている人だけなので、インスタグラムに店の写真も投稿も無いまま、広告費だけを増やさないでください。
地図アプリで見つけてもらう手立てと、SNSで見つけてもらう手立ては、片方だけにしないほうがよいです。飲食店のInstagramをどう続けるかは、こちらの記事にまとめています。
広告を出すかは、店舗ページを埋めてから決める
インバウンド集客の広告は、出すか出さないかを先に決める話ではありません。
店舗ページの空いている欄を埋めて、写真を並べ直して、そのうえで広告を少額から出して、来店が増えるかを確かめるものです。
明日から順にやることは3つです。
- 1つ目は、店舗ページの属性欄で、店で使える決済方法にチェックを入れ、説明文と予約リンクを埋めること
- 2つ目は、店舗ページに載せる写真の1枚目を選び直し、2枚目以降を並べ替えること
- 3つ目は、1日に使う広告費の上限額を決めて、ローカル検索広告を出すこと
迷ったときは、広告の管理画面ではなく、英語表示にした自分の店舗ページを開いて、空いている欄から埋めてください。
インバウンド集客でお困りの方はぜひTABICOにご相談ください。