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飲食店のアレルギー表示を英語で|特定原材料8品目の一覧と書き方

英語のアレルギー表示は、全部を書ききらなくても成立します。店が答えきれる範囲だけをメニューに書き、残りを予約時と卓上に回す線の引き方。

アレルギー、英語で答えられますか

注文を取りに行った席で、お客様がメニューを指さして「Does this have egg?」(これに卵は入っていますか)と聞いてきます。

厨房に確認しに行っても、だしや醤油に何が入っているかまでは分かりません。

結局「Maybe OK」とだけ答えて、お客様のほうが注文をやめてしまいます。

聞かれるのは、アレルギー表示の8品目とは関係のない品や、宗教上の理由で食べられないものまで含まれます。

それでも、全部に答えられる店にしなくてかまいません。

メニューに書ききれる料理だけを英語で書き、書かなかった料理については、予約のときと卓上で聞かれてから答えます。

特定原材料8品目|アレルギー表示 英語の一覧と書き方

えび・卵・乳・落花生・魚などが並べられ、「FOOD ALLERGY」と書かれた札が置かれている

アレルギー表示のルールそのものは、消費者庁のアレルギー表示についてと食品表示企画にまとまっています。

品目や運用は改正されることがあるので、メニューを書き換える前に消費者庁のページを直接見てください。

書く範囲を決めるときの土台になるのが、食品表示法で「特定原材料」とされている8品目です。

もともとは7品目で、そこにくるみが加わって8品目になりました。

品目の一覧と改定の内容は消費者庁のアレルギー表示のページにまとまっています。

外食のメニューが表示義務の対象になるかどうかは、私が書いたものより、所轄の保健所か消費者庁の案内で確認していただいたほうが確実です。

義務の有無とは別に、この8品目は公的に一覧が定まっている数少ない範囲です。

どの品目から英語表記を用意するか迷っているなら、この8品目から始めるのがいちばん早いです。

特定原材料8品目 英語の対応表(えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生)

左が日本語、真ん中がメニューに載せる英語、右がメニューにそのまま書き写せる書き方です。

英語名は、まず表の真ん中の英語だけ覚えれば足ります。

日本語英語メニューでの書き方
えびshrimpContains shrimp
かにcrabContains crab
くるみwalnutContains walnut
小麦wheatContains wheat
そばbuckwheatContains buckwheat
卵eggContains egg
乳milk / dairyContains milk
落花生peanutContains peanut

英語で書くときに注意が要るのは2つです。

そばを noodle と訳さないようにすることです。

noodle は麺類全般を指す語なので、buckwheat と書かなければ、そばアレルギーの人には何も伝わりません。

落花生とナッツ類を分けることです。

peanut は豆で、walnut や almond とは別のアレルゲンになります。

「Nuts」とまとめて書いてしまうと、落花生とナッツ類のどちらを避ければよいのか読み手が判断できません。

覚えるのは表の8語と、そばと落花生の2つの注意だけです。

自店のメニューを見直し、そばと落花生の英語だけ直してください。

contains / allergy / allergic to の使い分け

「ENGLISH」と並べた木の文字と、ノートと筆記具

3つの語を、店が書く語とお客様が言う語に分けます。

contains は店が書く語です。

「Contains egg and wheat.」(卵と小麦が入っています)と書けば伝わります。

メニューにはcontainsだけ使います。

allergic to はお客様が言う語です。

「I'm allergic to peanuts.」(落花生のアレルギーがあります)と言われたら、そのお客様が落花生を食べられないということです。

allergy は名詞なので、店が聞くときの文に使います。

「Do you have any food allergies?」(食物アレルギーはありますか)と聞きます。

メニューに「Allergy: egg」とだけ書くのは避けてください。

卵が入っているのか、卵アレルギーの人向けの料理なのか、どちらにも読めてしまいます。

書く語と聞く語、言われる語を分ければ、表示で迷いません。

メニューにはcontainsだけを使い、口頭で確認するときはallergyを使えば10分です。

containsは「入っている」という意味なので、卵や小麦が入っているのか、卵や小麦のアレルギーの人向けの料理なのかで迷わせません。

機械翻訳をそのまま貼ると通じない箇所

翻訳ツールで英語にした文は、指示を細かく与えないと一般的な言い回しのまま出てきます。

日本語の原文が曖昧でも英文が曖昧なまま出てくるわけではなく、むしろ、はっきり断定する文になって出てきます。

アレルギーの表記で問題になるのは、翻訳ツールが出す英文が、日本語の原文より強く言い切った文になってしまうことです。

「卵は入っていません」と入力すると「This dish does not contain egg.」(この料理に卵は入っていません)という断定の文が返ってきます。

だしや調味料の中身まで確認できていないなら、この文は書けません。

出てきた英文は、意味が合っているかよりも先に、断定していないかどうかを見直してください。

翻訳ツールは、店側が確認できていない中身まで断定した英文にします。

断定を外した例の英文は、卵を入れていないことと、だしや調味料まで確認できていないことを分けて書いているので、確認できたことだけを書き、それ以上は言い切らずに済んでいます。

メニューに書く情報と、聞かれてから答える情報を分ける

店頭に出された黒板のメニュー。手書きで料理名と値段が並んでいる

8品目の英語がそろっても、全品の原材料を英語で書ききる必要はありません。

メニューに書いた料理については、その原材料を聞かれたときに答えられるようにしておく必要があります。

全品に書くか、主要メニューだけに書くかの決め方

出数の多い上位10品から始めます。

そのうえで、自店で実際に使っている品目だけを8品目から拾います。

そばを扱っていない店が buckwheat の行を作る意味はありません。

残りの料理は、書かずに「聞かれたら答える」側に置きます。

書いていない料理について聞かれたら、その場で厨房に確認すれば運用できます。

アイコン表示にすると、書ける量と答える量が合わなくなる場面

卵や小麦のアイコンを並べる表は見やすい一方で、アイコンが付いていない料理は「入っていない」と受け取られます。

だしや醤油の中身を仕入れ先まで確認していない状態でアイコンを付けないでおくと、確認していないことが「入っていない」という表示に変わってしまいます。

アイコンを使うなら、入っているものだけを書いて、付いていない=不明の可能性があると英語で1行添えてください。

「Icons show ingredients we have confirmed. Please ask us about anything else.」(アイコンは確認できた材料を示しています。それ以外はお尋ねください)で足ります。

(アイコンは、確認できた材料だけを示しています。それ以外はお尋ねください)

アイコンは、確認していないことまで答えたように見せてしまいます。

アイコンは、値引き札のようなもので、値引き札を貼っていない商品は対象外に見えます。

日本語メニューしかない店でも、この1枚があれば足りる

英語メニューを作り直さなくても、A4を1枚足せば対応できます。

自治体が無料で配っている指差し会話シートを土台にする手もあります。

入手先と、自店で足す項目の決め方は、こちらの記事にまとめています。

あわせて読みたい指差し会話シートの無料配布元|飲食店が足す料理名の決め方無料で配れているシートをそのまま使うと、自店の料理名が入っていません。何を足し、何を載せないかを、実際に聞き返された語から決めます。

メニュー本体のほうを直すときは、飲食店の英語メニューの作り方に料理名と説明文の書き分けをまとめています。

載せるのは、主要10品の料理名(ローマ字+英語の短い説明)、その料理に入っている8品目、共用の調理器具についての1文、この3つだけです。

日本語メニューしかない店は、外国人のお客様にとって行く価値のある店です。

英語のメニューがあるから選ばれているのではなく、その店にしかない料理があるから選ばれています。

とはいえ、書いたものが何も無ければ、お客様に聞かれるたびに厨房へ確認しに行くことになります。

用意しておきたいのは、英語の表そのものより、聞かれたときに誰が厨房まで確認しに行くかを決めておくことです。

1枚の紙は、その確認に行く回数を減らすために作ります。

運用をまるごと引き受けることもしています。

あわせて読みたい飲食店の英語メニューの書き方|見本3枚と1品に載せる4項目英語の料理名だけを並べたメニューだと、結局その場で「これは何ですか」と聞かれます。1品に書く4項目と、和食・居酒屋・カフェの見本を置きました。

英語メニューの作り直しではなく、A41枚と確認の担当決めで足ります。

主要10品の3項目を1枚にまとめ、聞かれたら誰が厨房へ行くかを決めてください。

だし・醤油・揚げ油に何が入っているかを英語で伝える

小鉢に注がれる醤油と、その脇にこぼれた大豆

原材料表示でいちばん答えにくいのが、加工調味料と、共用の調理器具による混入(コンタミネーション)です。

ここは「入っている / 入っていない」の二択では書けません。

だし・醤油・味噌・みりんに何が入っているかを英語でどう言うか

4つの調味料について、外国人のお客様が気にする中身と、そのまま言える英語をまとめます。

右の欄の英文は、卓上でそのまま読み上げても使えます。

調味料入っていることが多いもの英語での言い方注意
だしかつお節などの魚、昆布Our broth is made with dried fish and kelp.ベジタリアン・ビーガンの客がいちばん引っかかる
醤油大豆、小麦Soy sauce contains wheat and soybeans.製品によって原材料が異なる。自店で使っている商品の表示を確認する
味噌大豆、米または麦Miso is made from fermented soybeans.原料は製品ごとに違う。表示を見てから書く
みりん米、アルコールThis dish is seasoned with mirin, which contains alcohol.みりん風調味料など、製品によって原材料が異なる。飲酒を避ける客に関わる

醤油もみりんも味噌も、原材料は製品ごとに違います。

英文を用意する前に、自店で使っている商品の原材料表示を実際に見てください。

自店で使っている商品の原材料表示に書かれていること以上のことは、英文に書けません。

この4つの調味料については、魚・小麦・大豆・アルコールのどれが入っているかを確認してください。

共用の揚げ油・鉄板・トングを伝える1文

同じ油でえびフライと野菜の天ぷらを揚げているなら、そのことをお客様に伝えてください。

  • 「We fry all items in the same oil.」(すべての料理を同じ油で揚げています)
  • 「We use the same grill for meat and vegetables.」(肉と野菜を同じ鉄板で焼いています)
  • 「We cannot guarantee that a dish is completely free from other ingredients.」(他の材料がまったく入っていないとは言い切れません)

最後の「We cannot guarantee that a dish is completely free from other ingredients.」(他の材料がまったく入っていないとは言い切れません)という文は、卓上でもメニューの下でも使えます。

卓上で聞かれたときに指してもらう紙は、指差し会話シートの無料配布元 から1枚選べます。

「保証はできない」と先に言っておくと、お客様の側が自分で判断できます。

共用の設備は、隠さずにお客様へ伝えましょう。

同じ油や鉄板を使うことを1文で書き添えて、判断はお客様にお任せください。

仕入れ先に確認しても分からない場合の扱い

業務用のたれや粉に何が入っているかは、袋の表示以上のことは分かりません。

私たちが同行していても、袋の表示以上のことは分からないのは同じで、調味料の中身までは確認しきれずにいます。

大野みひろ

だしや醤油・味噌の中身(材料)まで確認して、宗教上食べられないものかどうかを判断するのは難しいです。

飲食店で働いていたときは原材料表示を確認していました。

それでも、加工調味料の中身までは確認できないということです。

だから、分からないものは分からないまま書きます。

「We are not able to confirm all ingredients in this sauce.」(このソースの材料すべては確認できていません)の1文があれば、お客様はその料理を選ぶかどうかを自分で決められます。

分からないのに「入っていません」と書くことだけ避ければ10分です。

確認できない範囲は、確認できないとお客様に伝えるのがいちばん正確です。

「大丈夫です」と英語で言い切らない

「FOOD ALLERGY」と書かれた黄色いひし形の注意標識

英語で聞かれると、その場を収めるために「OK」「No problem」と答えてしまいがちです。

アレルギーの質問では、この2語がいちばん危ない返事になります。

may contain / we cannot guarantee を使った定型文

下の表の英文を読み上げるか、紙に印刷して卓上に置いてください。

場面英文日本語
入っていると分かっているThis dish contains egg.この料理には卵が入っています
入っている可能性があるThis dish may contain traces of shrimp.この料理にはえびが混ざっている可能性があります
器具を共用しているWe cannot guarantee there is no cross-contact with other ingredients.他の材料が混ざっていないとは言い切れません
抜くことができるWe can make this without egg.卵を抜いてお作りできます
抜くことができないWe are not able to remove it from this dish.この料理から抜くことはできません

「may contain」と「cannot guarantee」の2つを覚えておけば、言い切らずに必要なことを伝えられます。

分からないときに使う「調べてきます」の英語

1文だけ用意します。

「Let me check with the kitchen. One moment, please.」(厨房に確認してまいります。少々お待ちください)

そのあと分からなかったときは「I'm sorry, we cannot confirm it. Would you like to try another dish?」(申し訳ありません、確認ができませんでした。別のお料理はいかがでしょうか)と続けます。

分からないことを伝えたうえで別の料理を出せば、その場はきちんと終わります。

その場で調べて答えるまでの流れ

その場で答えられない質問は、調べてから答えて構いません。

私もツアーで魚の英語名が出てこなかったことがあり、そのときはスマホで調べてお答えしました。

大野みひろ

魚の名前は私も英語が分からず、その場でスマホで調べて答えました。調べるのにかかるのは2分くらいで、AIやGoogleを使っています。

2分くらいなら、お客様を待たせても嫌な顔はされません。

魚は英名がそのつど違うので、覚えておくより調べたほうが早い品目でもあります。

厨房に確認しに行く前に、まずお客様に「調べてきます」と伝えます。

あとはスマホで2分です。

全部を覚えていなくても、その場で調べれば答えられます。

答えられない質問が出たら、まずお客様に「調べます」と伝えてください。

外国人に食物アレルギーを聞く言い方と、聞き返される食材

白いブロックを並べて「MENU」と綴ったもの

書いたものと英文がそろったら、あとは注文を取る前のひと言です。

注文を取る前に一度だけ聞く英語

「Do you have any food allergies or anything you cannot eat?」(食物アレルギー、または召し上がれないものはございますか)

アレルギーだけでなく「食べられないもの」まで一度に聞けるので、宗教上の禁忌やベジタリアンもここで出てきます。

聞くのは注文を取る前に一度だけです。

料理を運ぶたびに聞き直す必要はありません。

大根おろし・かまぼこ・卵焼き・梅酒――聞き返される日本の食材

この4つは、何の食材か分からないから聞かれるものです。

大野みひろ

ツアーで通訳を頼まれた品も、8品目とは別のこうした食材でした。

食材英語での説明注意する点
大根おろしGrated radish. It is raw and mild.辛いのか、生なのかを聞かれる。アレルゲンではない
かまぼこFish cake, made from white fish.魚が原料。卵や小麦が使われている製品もある
卵焼きJapanese rolled omelette, made with egg and dashi.だしに魚が入る。卵と魚の両方に関わる
梅酒Plum wine. It contains alcohol and sugar.飲酒を避ける客に関わる。梅は plum で通じる

TABICOが実際に返している言葉は、表よりもっと短いものです。

大野みひろ

どれも1語か2語で答えています。卵焼きのように見た目で判断がつくものは、説明しなくても伝わります。

説明は、3語ですべて済んでいます。

卵焼きにいたっては、皿を見せれば説明が要りません。

英文を組み立てようとするより、材料を1語で言うほうが早く伝わります。

お店では、この4つの英語名を手元に控えておくだけで足ります。

アレルゲンではないが、正体が分からないから聞かれる語

大根おろしがいちばん多く聞かれているのは、アレルギーの心配ではなく、白いものが何なのか分からないからです。

魚についても、普段魚を口にしない国から来た人ほど気にする、というのが、ツアーで見てきた実感です。

席で聞かれる質問の多くは、アレルギーの質問に見えて、本当は「これは何ですか」という質問だと思っていいと思います。

答えとして必要なのは成分表ではなく、材料を1語で言うことだけです。

予約のときに聞いておけば当日の確認は減りますが、なくなるわけではありません。

予約時に一度アレルギーを聞き、当日は数名分だけ差し替えられるようにしておけば足ります。

予約の時点で聞いておくと、当日の確認が減る

席で答えきれない分は、店の側が予約のときに聞いておきます。

来店前なら、店の側には、厨房に確認する時間があります。

予約を受ける側から見ると、この聞き取りは、お客さま側の手配より前に済んでいることがあります。

大野みひろ

事前にメールで、宗教上・アレルギーで食べられないものがないかを必ず確認します。

この聞き取りが店に届くのは、早ければ1ヶ月前です。

それでも、当日にならないと確定しない部分は残ります。

大野みひろ

焼肉のとき、グループのうち数名が牛肉を食べられず、結局その数名だけ個別注文になりました。

個別注文に切り替わったのは当日でした。

事前に聞き取っていても、席についてから決まることはあります。

店の側は、全員分の完璧な事前情報をそろえるより、当日に数名分だけ別の料理に変えられるようにしておくほうが楽です。

予約時に聞く3点(アレルギー・宗教上の禁忌・ベジタリアン可否)

予約メールでも電話でも、聞くのは3つです。

1アレルギーを聞く

「Do any guests have food allergies?」(食物アレルギーのある方はいらっしゃいますか)と聞きます。

2宗教上の禁忌を聞く

避ける食材は豚肉とアルコールが多いので、「Are there any ingredients you avoid, such as pork or alcohol?」(豚肉やお酒など、避けている材料はありますか)のように食材名を挙げて聞くほうが、挙げずに聞くより答えをもらいやすくなります。

3ベジタリアンかどうかを聞く

「Is anyone vegetarian or vegan?」(ベジタリアンやビーガンの方はいらっしゃいますか)と聞きます。

対応できるかを厨房と先に決めておく

聞き取った内容は、そのまま厨房に渡すのではなく、出せる料理まで決めておきます。

コースなら差し替える1品を決めておきます。

単品なら勧める料理を2つ決めておきます。

当日は、事前に決めておいた料理を出すだけです。

当日の運営で店へ申し送りしている内容には、人数と時間のほかに、食べられないものと差し替えの可否が入っています。

大野みひろ

弊社が受託している当日運営でも、店へ渡すのは人数と時間だけではありません。

対応できない場合に、その人だけ別の料理にする

全員分の料理を変える必要はありません。

該当する人だけ別の料理にすれば、他の全員は予定どおり出せます。

焼肉の例も、数名だけを個別の注文に切り替えることで対応できました。

「その1人分だけ変える」と決めておけば、対応できるかどうかの判断はかなり単純になります。

変えるのは申告した人の1皿だけで、残りはそのまま出せます。

断る前に、その1人分を別の料理に替えられるか確かめてください。

ベジタリアンとビーガンへの対応をどこまで表記するか

刺身の舟盛り、鍋、揚げ物、鴨肉のサラダなどが並んだ和食のコース料理

アレルギーと同じように客席で聞かれるのに、店側でやることがまったく違うのがベジタリアンとビーガンの2つです。

そして実際の現場では、ベジタリアンより先に宗教上の制限が出てきます。

大野みひろ

ツアーでお客様から伝えられるのも、8品目のアレルギーより宗教上の理由のほうが多いです。実際に申告されたのは豚肉、生の魚、牛肉でした。インドの方は宗教上で食べられないものの制限が多く、苦労しました。

豚肉、牛肉、生の魚。

言葉にすれば短いですが、豚肉、牛肉、生の魚が料理の中に入っていれば同じことで、店の側は「何の肉か」「魚は生か」を聞かれます。

ベジタリアン・ビーガンの申告も含めて、店の側は「肉を抜けるか」「だしまで抜けるか」の2つに分けて考えると整理がつきます。

vegetarian と vegan で店側がやることが変わる点

肉を抜けば済むのか、だしまで抜くのかで、店側の対応が変わります。

vegan への対応は、具を外すだけでは足りず、だしそのものを替える必要があります。

区分食べないもの店でやること聞く1文
vegetarian肉、魚
(卵と乳は食べる人が多いが、人によって幅がある)
肉と魚を使わない料理を出す。だしについて確認が要るDo you eat eggs and dairy?
vegan肉、魚、卵、乳、はちみつ、かつおだしだしを昆布に替えられるかを厨房に確認する。替えられないなら出せる料理が無い場合もあるWe can offer this without meat, but our broth contains fish.

vegetarian と言われて肉だけを抜くと、だしのところで条件を満たさなくなります。

まず卵と乳を食べるかどうかを聞いてしまうのが、いちばん早く済みます。

宗教上の制限も同じ聞き方でかまいません。

ただし「肉を抜く」だけでは足りないことがあり、豚と牛のどちらが不可なのか、魚は加熱していれば食べられるのかまでは、聞かないと分かりません。

こちらから品目を1つずつ聞くより、避ける品目をお客様に挙げてもらうほうが早く済みます。

vegetarian と vegan という呼び名を覚えるより、そのお客様が何を避ける方なのかを確かめるほうが確実です。

自店のだしに何が入っているかを先に厨房で確かめておけば足ります。

かつおだし・魚醤が入っている料理を vegetarian と書かない

野菜だけの煮物でも、かつおだしを使っていれば vegetarian にはなりません。

同じことが、めんつゆ、白だし、ナンプラーなどの魚醤にも当てはまります。

書けるのは、昆布だけでだしを取り直せる料理か、そもそもだしを使っていない料理です。

それ以外に「Vegetarian」と付けるのは避けてください。

対応できない場合の断り方

ヴィーガン対応の食事が出せないと分かっているなら、席に着く前に伝えるほうが親切だと思います。

「We're sorry. All of our dishes are made with fish broth, so we cannot serve a vegan meal.」(申し訳ありません。当店の料理はすべて魚のだしを使っているため、ヴィーガンのお食事はご用意できません)

理由まで言えば、お客様は納得して別の店を探せます。

メニューの隅に1行この文があるだけで、注文の前にお客様に判断してもらえます。

ヴィーガンに対応していない店ほど、対応していないことを英語で書いておく価値があります。 メニューに書けることと、その場で答えられることを分けて考えるだけで、英語表示は始められます。

まず8品目と、見ただけでは何か分からない食材に、1語ずつ英語を書き添えれば10分です。

答えきれる範囲だけ書いて、残りは聞かれてから答える

すべての料理のアレルゲンを英語で書ききる必要はありません。

厨房で確認できる範囲だけをメニューに書き、書けない部分は予約時と卓上で伝える。

どこまで書くかさえ決めておけば、表示が少ない店でも注文まで進みます。

順にやるなら、この3つです。

1いま出しているメニューのうち、特定原材料8品目が入っていると分かっている料理に英語を1語だけ足す

細かい表を作る前に、英語を1語足すだけで質問はかなり減ります。

2正体が分からない食材に、1語の英語を用意する

Grated radish(大根おろし)、fish cake(かまぼこ)、Plum wine(梅酒)。

この1語の英語は、成分表よりも先に役に立ちます。

3予約の受付に1行足す

「Do any guests have food allergies or dietary restrictions?」(食物アレルギーや食べられないものがある方はいらっしゃいますか)と聞いておけば、厨房に確認する時間が来店前に取れます。

迷ったときの基準は1つです。

厨房に確認できないことは書かない。

書けないことは「聞かれたら調べて答える」にしてかまいません。

その場で2分調べて答えるほうが、書いてある英語が間違っているより、ずっと安全です。

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